ペルる
ペル(Per)とは、日本の歯科診療において、主に根尖性歯周炎を示す略記です。根尖性歯周炎は、歯の根の先端にある歯根膜や周囲の骨に炎症が起きている状態を指します。
この記事のポイント
- ペル(Per)は、主に根尖性歯周炎を示す歯科臨床上の略記です。
- 歯の神経がない場合でも、歯根周囲に炎症が起きると痛みを感じます。
- 治療の中心は、根管内の感染源を除去する根管治療です。
- 痛みがなくても、エックス線検査で病変が見つかる場合があります。
ペル(Per)とは
ペル(Per)は、日本の歯科診療録や歯科医療従事者間の会話で、主に根尖性歯周炎を表すために用いられる略記です。
根尖性歯周炎とは、歯髄や根管内の細菌感染が歯根の先端側へ広がり、根尖部周囲の歯根膜や顎の骨に炎症を引き起こした状態です。
深いむし歯によって歯髄が壊死した歯だけでなく、過去に根管治療を受けた歯にも発生することがあります。噛んだときの痛みや歯肉の腫れが現れる場合がある一方、自覚症状がなく、エックス線検査で初めて見つかる場合もあります。
「ペルる」という表現について
「ペルる」は標準的な歯科医学用語ではありません。一般公開する記事や患者さんへの説明では、「根尖性歯周炎」または「ペル(Per:根尖性歯周炎)」と表記することが適切です。
ペルの正式名称と英語表記
| 正式名称 | 根尖性歯周炎 |
|---|---|
| 読み方 | こんせんせいししゅうえん |
| 英語表記 | Apical periodontitis |
| 略記 | Per、AP |
日本の歯科臨床では「Per」が使用されることがあります。一方、英語文献では「Apical periodontitis」の頭文字を取った「AP」が用いられることがあります。
ペルが起こる主な原因
根尖性歯周炎の主な原因は、歯髄や根管内の細菌感染です。根管内で増殖した細菌や炎症に関係する物質が、歯根の先端にある根尖孔を通じて周囲組織へ影響し、炎症が起こります。
- 深いむし歯によって歯髄に細菌感染が及んだ
- 外傷などによって歯髄が壊死した
- 根管治療が途中の状態で長期間経過した
- 根管治療後の歯に再感染が起きた
- 被せ物や詰め物の隙間から細菌が侵入した
- 複雑な根管や未処置根管に感染源が残った
噛み合わせによる負担、歯根破折、歯周病などでも似た症状が生じることがあります。そのため、噛んだときの痛みや打診痛だけで根尖性歯周炎と判断することはできません。
ペルの主な症状
根尖性歯周炎では、次のような症状がみられることがあります。
歯肉にできるニキビのような膨らみは、膿の排出経路である瘻孔の可能性があります。膿が排出されると痛みが軽くなることがありますが、感染源がなくなったとは限りません。
早めの受診が必要な症状
顔面の腫れ、発熱、強い倦怠感、飲み込みにくさ、口を開けにくいなどの症状がある場合は、感染が周囲へ広がっている可能性があります。早めに歯科医療機関を受診してください。
ペルの検査・診断方法
根尖性歯周炎の診断では、症状の聞き取りだけでなく、複数の検査結果を組み合わせて判断します。
問診
痛みが始まった時期、痛みの強さ、噛んだときの症状、過去のむし歯治療や根管治療の有無などを確認します。
打診・咬合検査
歯を軽くたたいたときの痛みや、噛んだときの痛みを確認します。根尖部周囲に炎症がある場合、打診痛や咬合痛がみられることがあります。
歯髄検査
冷たい刺激や電気刺激に対する反応を確認し、歯髄の状態を評価します。隣接する歯や反対側の歯と反応を比較して判断します。
歯周組織検査
歯周ポケットの深さや歯の動揺を確認します。歯周病、歯根破折、歯内・歯周病変との鑑別に必要です。
エックス線検査
歯根膜腔の拡大、根尖部の透過像、根管治療の状態、歯根周囲の骨の変化などを確認します。ただし、発症直後には画像上の変化が明確に現れない場合があります。
CBCT検査
通常のエックス線検査だけでは病変や根管の状態を把握しにくい場合に、歯科用コーンビームCTであるCBCT検査を検討します。すべての症例で必要になる検査ではありません。
ペルとPul・Pの違い
| 略記 | 主に示す状態 | 炎症が起こる場所 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Per | 根尖性歯周炎 | 歯根の先端周囲 | 咬合痛、打診痛、腫れなど |
| Pul | 歯髄炎 | 歯の内部の歯髄 | 冷温刺激による痛みなど |
| P | 歯周炎 | 歯肉や歯周ポケット側 | 歯肉出血、歯周ポケット、動揺など |
Pulは歯の内部にある歯髄の炎症を示す略記です。Perは歯根の先端周囲に起こる炎症であり、炎症が起きている場所が異なります。
Pは一般に歯周炎を示す略記です。根尖性歯周炎は歯髄や根管側から、一般的な歯周炎は歯肉や歯周ポケット側から進行します。ただし、両者が併存する歯内・歯周病変もあります。
ペルの治療方法
根尖性歯周炎の治療では、根管内の細菌や感染した組織を除去し、再感染を防ぐことが基本となります。治療方法は、歯の状態や過去の治療歴によって異なります。
根管治療
歯髄が壊死している歯や根管内に感染がある歯では、根管内の壊死組織や細菌を除去し、洗浄と消毒を行います。その後、根管内に根管充填材を充填し、再感染を防ぎます。
再根管治療
過去に根管治療を受けた歯に根尖性歯周炎が残っている場合や、再感染が疑われる場合には、再根管治療を検討します。以前の根管充填材を除去し、未処置根管や感染源の有無を確認します。
歯根端切除術
通常の根管治療や再根管治療だけでは改善が難しい場合に、歯肉側から根尖部へアプローチし、感染した組織と歯根の先端部分を除去する歯根端切除術を検討することがあります。
抜歯
歯根破折がある場合や、残っている歯質が少なく歯の保存が難しい場合には、抜歯が選択されることがあります。歯を保存できるかどうかは、歯根、歯周組織、残存歯質などを含めて総合的に判断します。
ペルに抗菌薬は必要?
根尖性歯周炎では、抗菌薬を服用するだけで根管内の感染源を取り除くことはできません。局所に限られた感染では、根管治療や排膿などの歯科処置が治療の中心となります。
顔面の広範な腫れ、発熱、リンパ節の腫れ、倦怠感、感染の急速な拡大などがみられる場合には、全身状態を確認したうえで抗菌薬の使用を検討します。
抗菌薬の自己判断は避けましょう
以前処方された抗菌薬を自己判断で服用すると、適切な診断や治療が遅れる可能性があります。症状がある場合は、歯科医師の診断を受けることが重要です。
神経を抜いた歯でもペルになる理由
根管治療によって歯の内部の神経を除去していても、歯根の周囲には歯根膜や骨などの組織が残っています。
根管内の細菌感染が残っている場合や、治療後に再感染が起きた場合には、歯根周囲の組織に炎症が起こります。そのため、神経を抜いた歯でも、噛んだときの痛み、歯が浮くような感覚、歯肉の腫れなどが現れることがあります。
患者さんへの説明例
「歯の中の神経はありませんが、歯の根の周囲には感覚のある組織が残っています。その部分に炎症が起きているため、噛んだときの痛みや腫れが生じています」
治療後の経過観察
根尖性歯周炎の治療後は、痛みや腫れがなくなったかどうかだけでなく、エックス線画像で根尖部の状態を継続的に確認します。
根尖部に認められた透過像は、治療直後に消失するものではありません。症状の有無や画像上の病変が縮小しているかなどを確認しながら、治癒経過を評価します。
ペルについてよくある質問
まとめ
ペル(Per)は、主に根尖性歯周炎を示す歯科臨床上の略記です。根管内の細菌感染によって歯根の先端周囲に炎症が起こり、噛んだときの痛み、打診痛、歯肉の腫れなどが現れることがあります。
症状がない場合や、神経を除去した歯に発生する場合もあります。症状だけで自己判断せず、歯髄検査や画像検査などを組み合わせた診断を受けることが重要です。