講師紹介 稲山未来

- 稲山未来
- Kery栄養パーク
- 代表 管理栄養士
- 栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームで調理に携わりながら管理栄養士の国家資格を取得。給食管理や栄養管理に加え、看取り期の食支援にも深く関わり、高齢者が“最期まで食べる”ことを支える重要性を学んだ。 さらに、食事だけでなく生活全体を支えるため介護支援専門員資格を取得し、包括的なケアに取り組んできた。
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訪問栄養食事指導スタートガイド
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管理栄養士の訪問栄養食事指導を始めたい歯科医院や管理栄養士
低栄養リスクのある高齢患者の全身管理を行う歯科医師
摂食嚥下リハビリテーションの介入に栄養学的な視点を加えたい専門職
居宅療養管理指導で多職種と連携する歯科衛生士
本動画は、訪問栄養食事指導における栄養ケアプロセスの重要なステップ、「目標栄養量の設定」と「栄養充足率の確認」について、管理栄養士が実践する詳細な手順を解説します。特に高齢者においては、低栄養が全身状態や口腔機能の低下、予後に直結するため、適切な目標設定は欠かせません。
訪問栄養食事指導(居宅療養管理指導)において、栄養ケア計画の立案は、患者さんの予後を左右する重要なプロセスです。本動画は、その計画の根幹となる目標栄養量の具体的な設定方法を、エネルギーとタンパク質に焦点を当てて詳細に解説しています。高齢者は低栄養(フレイル・サルコペニア)のリスクが高く、口腔機能の低下と相互に関連するため、歯科医療従事者にとってもこれらの知識は欠かせません。
目標エネルギー量は、単なる必要エネルギー量ではなく、「必要エネルギー量」に「エネルギー蓄積分(体重増加分)」と「訓練消費分(リハビリ消費分)」を足し合わせる必要があると解説されています。このうち、必要エネルギー量の算出には、身長・体重・年齢を考慮したハリスベネディクトの式に、活動係数(活動レベル)とストレス係数(骨折・褥瘡・感染症など)を乗じる方法、あるいは現体重×30kcalなどの簡易式が紹介されています。また、体重1kg増加するのに必要なのは、約7,000kcalである事を基に、体重減少量から不足エネルギー量を推定する応急処置的計算も紹介されており、実際の臨床で役立つ「手札」が豊富に示されています。
タンパク質は、筋肉(口腔周囲筋含む)や免疫機能の維持に不可欠であり、低栄養予防の観点から非常に重視されます。動画では、食事摂取基準から引用する方法と、基準値(体重あたりg)をかけて算出する方法が紹介されています。一般的には体重×1.0~1.2g/kgが基準ですが、リハビリを積極的に行う場合は1.5g/kg程度まで増やし、逆に慢性腎臓病(CKD)患者の場合はCKDガイドラインに基づき体重×0.6g/kgなどに制限する必要があります。この際、サルコペニアリスクを考慮し、制限の必要性について主治医と相談する、多職種連携の重要性が強調されています。
これら目標量が設定されることで、前ステップで把握した食事摂取量と比較した栄養充足率(%)が明確になります。目標に対し過剰か不足かを確認し、栄養診断(栄養課題の特定)へと進むことが示されています。この一連のアセスメントは、歯科領域におけるオーラルフレイルや摂食嚥下障害の重症度を客観的に評価し、栄養と口腔機能の同時改善を目指す上での共通基盤となります。
