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マウスピース矯正の価格設定を、患者さんの価格受容性から考える
マウスピース型矯正治療の料金は、装置原価や競合医院の価格だけで決めるものではありません。 患者さんが「安い」「適切」「高い」と感じる価格帯、税込・税別表示、追加費用の有無まで含めて設計する必要があります。
本動画では、新渡戸康希先生がPSM分析を用いた価格設定の考え方、 低価格化によって生じる品質への不安、トータルフィー制、医院が目指す価格ポジションについて解説します。
こんな方におすすめ
- マウスピース型矯正治療を導入したものの、相談数や契約数が伸び悩んでいる方
- 装置原価の倍率だけに依存せず、患者さんの視点から料金を見直したい方
- 値下げが治療品質への不信感につながらないか確認したい方
- 税込表示、調整料、保定装置費用などを含めた料金体系を整理したい方
- 月7件、年間84症例を一つの目標として医院体制を構築したい方
- 価格競争型と高付加価値型のどちらを目指すべきか検討している方
この動画の結論
マウスピース矯正の価格設定では、原価と必要利益を確保したうえで、 患者さんが受け入れやすい価格帯と、料金に含まれる治療内容を明確にすることが重要です。
安すぎる価格は必ずしも契約増加につながらず、治療品質や追加費用への不安を生む場合があります。 一方、高価格帯を設定する場合は、診断、説明、治療管理、アフターフォローなど、 価格に見合う価値を患者さんへ伝えなければなりません。
動画の紹介
マウスピース型矯正治療では、ClinCheck(クリンチェック)による治療計画の立案や、 歯間隣接面削合(interproximal reduction:IPR)などの臨床技術が重要です。 しかし、十分な知識や技術を備えていても、患者さんから治療相談を受け、 治療内容と費用に納得してもらえなければ契約にはつながりません。
患者さんは、歯科医師の資格、所属学会、症例数、アライナー矯正システム上のステータスだけで 医院を選ぶわけではありません。担当する歯科医師を信頼できるか、 説明内容を理解できるか、提示された総額を受け入れられるかといった要素も医院選びに影響します。
本動画では、医療法人社団杏壬会 「池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科」院長の新渡戸康希先生が、 マウスピース型矯正治療における価格設定の考え方を解説します。
特に取り上げるのが、消費者が商品やサービスの価格をどのように受け止めるかを調査する PSM分析です。歯科医院側の原価だけではなく、 患者さんの価格受容性から料金を考える視点を学べます。
マウスピース矯正で価格設定が重要な理由
矯正治療は患者さんの意思決定負担が大きい
矯正治療は、患者さんにとって費用負担が大きく、治療期間も比較的長い自由診療です。 日用品のように短期間で繰り返し購入するものではないため、 医院選びの段階で複数の歯科医院を比較する患者さんも少なくありません。
一度ほかの医院で治療を開始した患者さんが、同じ治療を自院で改めて契約する可能性は高くありません。 そのため、相談時に治療内容、費用、追加料金、治療後の対応を分かりやすく提示することが重要です。
専門性は患者さんに伝わって初めて価値になる
歯科医師が専門用語を使って高度な説明をしても、患者さんが理解できなければ、 専門性や治療価値は十分に伝わりません。
動画内で新渡戸先生は、患者さんが理解できる言葉を用い、 担当医への信頼と治療への納得感を形成したうえで、最後に価格を提示する重要性を説明しています。
PSM分析から考えるマウスピース矯正の適正価格
PSM分析は、商品やサービスについて、消費者がどの価格を安い、高い、 または受け入れにくいと感じるかを把握するための市場調査手法です。
動画では、新渡戸先生がマウスピース型矯正治療の価格を検討する際の参考値として、 次の3つの金額を紹介しています。
| 動画内の参考価格 | 位置づけ | 検討時の注意点 |
|---|
| 55万円 | 低価格側の参考値 | 導入初期や症例獲得を重視する場合の考え方。 価格を下げすぎると品質への不安を生む可能性があります。 |
| 75万円 | 標準価格としての参考値 | 患者さんの価格受容性を考える際の基準として紹介。 税込か税別かで支払総額が変わります。 |
| 110万円 | 高価格側の参考値 | 高付加価値型の医院が検討する価格帯。 価格に見合う診療価値と説明が必要です。 |
実際の価格は、地域、治療範囲、症例の難易度、使用する装置、 診査・診断内容、診療時間、追加アライナー、保定装置、 再診・調整料、アフターフォローなどを踏まえて各医院で設定する必要があります。
価格を下げすぎると契約数が伸びないことがある
「価格を下げれば患者さんに選ばれやすくなる」と考えがちですが、 医療サービスでは、相場から大きく離れた低価格が不安材料になる場合があります。
患者さんは、著しく安い価格を見たとき、次のような疑問を持つ可能性があります。
- 治療範囲が限定されているのではないか
- 診査や治療計画が十分ではないのではないか
- 治療開始後に追加費用が発生するのではないか
- 追加アライナーや保定装置が含まれていないのではないか
- 治療中や治療後のサポートが少ないのではないか
- 担当医の経験が少ないのではないか
低価格戦略を採用する場合でも、価格だけを強調するのではなく、 治療内容、料金に含まれる項目、追加料金が発生する条件を明示することが重要です。
装置原価の倍率だけで料金を決めない
歯科医院では、装置や技工物などの原価に一定の倍率を掛けて、 自費診療の料金を設定することがあります。
しかし、装置関連原価だけを基準にすると、患者さんがその価格をどのように受け止めるか、 また医院が提供している診療価値を十分に反映できない可能性があります。
マウスピース型矯正治療の料金には、一般的に次のような要素が関係します。
- 初診相談、精密検査、診断
- ClinCheckなどを用いた治療計画の作成
- アライナー装置関連費用
- 診療時間とスタッフの対応時間
- 治療中のモニタリング
- 追加アライナーへの対応
- 再診料、管理料、調整料
- 保定装置と治療後の管理
必要な利益を確保しながら、患者さんが治療内容に見合うと感じる価格帯を探ることが、 継続可能な料金設計につながります。
税込表示とトータルフィー制の設計
75万円税込と75万円税別では印象が異なる
同じ「75万円」という表示でも、税込75万円と税別75万円では、 患者さんが最終的に支払う金額が異なります。
税別75万円の場合、消費税を含めた総額は82万5,000円です。 最初に認識した価格と実際の支払総額に差があると、 患者さんが想定以上に高いと感じる可能性があります。
治療終了までに必要な総額を示す
料金説明では、装置代だけでなく、治療終了までに必要となる費用を整理する必要があります。
- 精密検査・診断料
- 毎回の再診料や調整料
- 追加アライナー費用
- 保定装置費用
- 治療計画変更時の費用
- 治療期間延長時の管理費用
これらを当初の治療費に含めるトータルフィー制と、 通院ごとに費用を設定する方式では、患者さんが受ける印象が異なります。 どちらを採用する場合でも、契約前に総額と追加費用の条件を明示することが重要です。
月7件・年間84症例を目標とする医院経営
新渡戸先生は、マウスピース型矯正治療に注力する医院が目指す一つの数値として、 月7件、年間84症例を提示しています。
この数字は、公的な認定基準や業界共通の定義ではなく、 講師が医院経営を考える際の目標値です。
一定数の症例を継続して受け入れるためには、価格設定だけでなく、 次の要素を一体的に整備する必要があります。
- 患者さんが理解できる治療説明
- 相談から契約までの院内導線
- スタッフを含めたカウンセリング体制
- 料金と治療範囲の明確な提示
- 自院の診療方針と強みの明確化
- 相談数、契約率、症例数、診療時間などの数値管理
- 症例数の増加に対応できる診療体制
自院が目指す価格ポジションを選択する
低価格側を選択する医院
導入初期の症例獲得や相談件数の増加を重視する場合には、 標準価格より低い価格帯を検討する考え方があります。
ただし、低価格でも利益を確保できる原価構造、診療効率、 症例数を受け入れられる体制が必要です。
標準価格帯を選択する医院
標準的な価格帯では、価格そのものによる差別化が難しくなるため、 診断力、説明、通いやすさ、スタッフ対応、治療中のサポートなど、 価格以外の価値を明確にする必要があります。
高価格側を選択する医院
高価格帯を設定する場合には、治療技術や症例実績だけでなく、 診査・診断、説明時間、治療管理、設備、追加対応、 治療後のフォローまで含めて、価格に見合う価値を提示する必要があります。
自院が価格競争型の診療モデルを目指すのか、 高付加価値型の診療モデルを目指すのかによって、適切な料金体系は異なります。
この動画で学べること
- マウスピース型矯正治療で価格設定が重要となる理由
- 患者さんが価格を判断する際の心理
- PSM分析を料金設計の参考にする考え方
- 安すぎる価格が品質への不安を生む理由
- 装置原価だけに依存しない価格設定
- 55万円・75万円・110万円という動画内参考値の位置づけ
- 税込表示と税別表示による支払総額の違い
- トータルフィー制と追加費用の考え方
- 月7件、年間84症例を目標とする際の院内体制
- 低価格型、標準型、高付加価値型の選び方
動画のチャプター
- 00:02マウスピース矯正で価格設定が重要な理由
- 01:18患者さんに伝わる説明と信頼形成
- 02:23適正価格の商品が選ばれやすい理由
- 03:27矯正治療特有の意思決定と機会損失
- 04:32低価格・標準価格・高価格の位置づけ
- 05:37価格による差別化と下限価格
- 06:41安すぎる価格が品質不安を生む心理
- 07:46装置原価の倍率とPSM分析
- 08:5155万円・75万円・110万円の参考値
- 09:56税込・税別表示とトータルフィー制
- 11:00自院が選択すべき価格戦略
マウスピース矯正の価格設定に関するよくある質問
PSM分析とは何ですか?
PSM分析は、消費者が商品やサービスについて、 どの価格を安い、高い、または受け入れにくいと感じるかを調べる市場調査手法です。 歯科医院側の原価だけでなく、患者さんの価格受容性を考える際の参考になります。
75万円はマウスピース矯正の全国共通の適正価格ですか?
全国共通の公的な適正価格ではありません。 本動画では、新渡戸康希先生が収録時点の市場調査や経験をもとに、 標準価格を検討する際の参考値として75万円を紹介しています。
料金を安くすれば契約数は増えますか?
必ずしも増えるとは限りません。 相場から著しく離れた低価格は、治療品質、追加費用、 担当医の経験、治療後の対応に対する不安を生む場合があります。
価格表示では何を明示すべきですか?
税込総額に加えて、精密検査、診断、再診・調整料、 追加アライナー、保定装置などが料金に含まれるかを明示することが重要です。
月7件、年間84症例は業界共通の基準ですか?
公的な認定基準や業界共通の定義ではありません。 新渡戸先生が、マウスピース型矯正治療に注力する医院経営の目標値として提示している数字です。