動画の紹介
インビザライン治療において、AIやエンジニア任せのクリンチェック承認は大きなリスクを伴います。本動画では、矯正治療で「絶対に失敗しない」ためのクリンチェック作成のワンポイントアドバイスについてご説明頂きました。
特に、デジタルセットアップにおける下顎前歯の唇側移動によるリセッション(歯肉退縮)の回避策に焦点を当てています。スーパーインポーズ機能を駆使して術前後のギャップを可視化し、IPR(歯間削合)や遠心移動を適切に組み込む3Dコントロールの手法を具体的に説明しています。臨床現場での生産性を高めつつ、患者とのトラブルを未然に防ぐための必須スキルが凝縮された内容です。
動画内容
クリンチェックの落とし穴:下顎前歯のリセッション回避戦略
マウスピース型矯正装置を用いた治療において、クリンチェックは従来のワイヤー矯正におけるセットアップ模型に代わる極めて重要なシミュレーションツールです。しかし、エンジニアが作成した初期プランをそのまま承認すると、成人矯正では許容できないレベルの側方拡大や前方拡大が含まれていることが少なくありません。
新渡戸先生は、特に「下顎前歯の移動量」に着目すべきだと指摘しています。下顎前歯が骨の厚みを超えて前方に移動すると、歯肉退縮(リセッション)や知覚過敏、最悪の場合は歯の動揺を招くリスクが高まるからです。
スーパーインポーズ機能とグリッド表示による精密な移動量評価
失敗しないクリンチェック作成の第一歩は、スーパーインポーズ(重ね合わせ)機能を活用することです。術前の歯の位置(青色)と移動後の位置(白色)を比較し、特に下顎前歯が2mm近く前方へ押し出されていないかを確認します。動画では、3Dコントロール画面上でグリッドを表示させ、1mm単位でのシビアな移動量評価を行う重要性が解説されています。
エンジニアの提案はあくまで「歯並びを整える」ことのみを優先している場合があるため、歯科医師が解剖学的な限界、すなわち歯槽骨の範囲内に歯を収めるための修正を加えなければなりません。
IPRと遠心移動の使い分けによる不可逆的処置のコントロール
リセッションの危険を察知した場合、具体的な解決策として「IPR」と「遠心移動」の2つのアプローチが示されます。叢生を解消するためのスペースを確保する際、前方に拡大する代わりに、4番や3番付近に適切なIPR(ディスキング)を設定することで、前歯の唇側傾斜を抑制し、安全な位置にリトラクトすることが可能です。
また、智歯(親知らず)が欠損または抜歯済みであれば、臼歯部の遠心移動を選択することで、より低侵襲に前歯部の位置をコントロールできます。こうした「失敗しないための基礎知識」を身につけることが、契約率の向上と良好な予後につながります。