【8月中】ベースアップ評価料の報告書提出|歯科診療所が今週確認すべき「実績」と「中間」の違い

歯科経営, 歯科医

ベースアップ評価料は、施設基準を届け出て算定を始めたら終わりではありません。対象期間に算定した歯科診療所は、賃金改善の状況を地方厚生(支)局へ報告する必要があります。

2026年8月の提出期限は8月31日(月)です

医院の算定状況に応じて、令和7年度算定分の「賃金改善実績報告書」と、令和8年度算定分の「賃金改善中間報告書」の一方または両方を提出します。2種類は使用する様式が異なるため、同じファイルを流用しないでください。

さらに、厚生労働省は2026年8月19日、施設基準の届出で受理された評価項目と請求内容に疑義が生じている保険医療機関等が散見されるとして、8月診療分以降の請求を適切に行うよう事務連絡を発出しました。報告書の提出とあわせて、受理された区分とレセコンの算定設定も確認しておく必要があります。

この記事で分かること

  • 2026年8月31日までに提出する報告書と対象となる歯科診療所
  • 令和7年度の実績報告書と令和8年度の中間報告書の違い
  • メール提出時のファイル形式、件名、ファイル名、本文の注意点
  • 歯科技工所ベースアップ支援料の2026年8月の扱い
  • 届出区分と診療報酬請求を照合する実務手順

まず確認|自院はどの報告書が必要か

報告書提出対象歯科診療所が使う様式2026年8月の対応
令和7年度
賃金改善実績報告書
2025年4月1日~2026年3月31日にベースアップ評価料を算定した保険医療機関等旧様式の「診療所及び歯科診療所用」提出が必要。2026年4月1日以降に初めて算定を開始した医院は不要
令和8年度
賃金改善中間報告書
2026年6月1日~7月31日にベースアップ評価料を算定した保険医療機関等様式100(報告書専用様式)提出が必要
歯科技工所
ベースアップ支援料
同支援料を届け出ている歯科診療所令和8年度分の実績報告は様式1022026年8月の報告書提出は不要。令和8年度分は2027年8月に報告

提出要否を判断するための3点

  1. 2025年度中に歯科外来・在宅ベースアップ評価料を1回でも算定したか
  2. 2026年6月・7月に同評価料を算定したか
  3. 歯科技工所ベースアップ支援料だけを届け出ているのか、歯科外来・在宅ベースアップ評価料も算定しているのか

「届出をしたか」だけでなく、「対象期間に実際に算定したか」を確認してください。判断に迷う場合は、レセコンの算定履歴と施設基準の受理通知を照合し、管轄の地方厚生(支)局都道府県事務所へ確認します。

令和7年度の実績報告書で注意すること

年度全体を1つの報告書にまとめる

年度途中に区分変更を行った場合や、賃金改善計画書を修正した場合でも、届出年度の賃金改善実施期間全体を1つの報告書にまとめます。区分ごとに分けて報告すると、内容の重複や不整合の原因になります。

令和8年4月以降に算定を開始した医院は提出不要

令和7年度賃金改善実績報告書の対象は、2025年4月1日から2026年3月31日までに算定した医療機関です。2026年4月1日以降に初めて算定を開始した場合、令和7年度分の実績報告書は提出不要です。

令和8年6月の賃金改善計画書は提出不要

令和6年度診療報酬改定で毎年6月に提出することとされていた賃金改善計画書について、2026年6月の提出は不要と案内されています。8月に提出する実績報告書・中間報告書と混同しないようにしてください。

令和8年度の中間報告書で注意すること

2026年6月1日から7月31日までにベースアップ評価料を算定している場合は、様式100の報告書専用様式を使用します。令和7年度の旧様式とは構造が異なるため、前年ファイルの複製では対応できません。

様式は更新されることがあります。過去に保存したファイルではなく、提出時点で厚生労働省または管轄の地方厚生(支)局が公開している最新版をダウンロードしてください。

歯科技工所ベースアップ支援料の扱い

歯科技工所ベースアップ支援料については、2026年8月に提出する報告書はありません。令和8年度算定分の実績報告は、2027年8月に様式102で行います。

ここで重要なのは、歯科診療所が支援料による収入を院内スタッフの賃上げに使う制度ではないことです。歯科診療所は、同支援料による収入の全額を、連携する歯科技工所への委託費の増額に充てます。歯科技工所側の賃金改善の意向を確認し、連携して運用することが施設基準で求められています。

来年の実績報告に備え、委託先別の算定回数、支援料収入、委託費の増額実績が照合できる状態にしておきましょう。支援料の算定に係る書類は、算定年度終了後3年間の保管が必要です。

メール提出の実務ルール

報告書は、歯科診療所の所在地を管轄する地方厚生(支)局都道府県事務所の専用メールアドレスへ、Excelファイルを添付して提出します。メールを利用できないなど、やむを得ない場合は書面提出も可能です。

提出前に確認する項目

  • 提出先:所在地を管轄する都道府県事務所の専用メールアドレス
  • メール件名:提出内容が分かる名称を記載
  • 添付ファイル名:医療機関コード、報告の種類、対象年度が分かる名称を記載
  • メール本文:医療機関名、担当者名、連絡先を記載
  • ファイル形式:公式のExcelファイルをそのまま使用

例として、地方厚生局では「9999999_ベースアップ評価料報告R7.xlsx」「9999999_ベースアップ評価料報告R8.xlsx」などのファイル名が案内されています。ただし、件名やファイル名の指定は管轄によって例示が異なるため、送信前に必ず自院を管轄する事務所の案内を確認してください。

受理されない形式に注意

PDF、ZIP、GoogleスプレッドシートやNumbersなどExcel以外の形式、独自に加工したExcel、パスワード付きExcel、OneDrive等の共有リンクは使用しないでください。システムの仕様で自動的に共有リンクへ置き換わる場合もあるため、送信後のメールを確認します。

受信連絡と「受理」は同じではありません。
地方厚生局から受信確認が届いても、内容の審査や正式な受理が完了したことを意味するとは限りません。送信メール、添付したExcel、受信確認を一式で保管し、その後の不備連絡を見落とさないようにしてください。

締切直前はメールが集中し、送信エラーが起こる可能性があります。8月31日当日まで待たず、作成でき次第提出し、エラーが返った場合は管轄事務所の案内に従って再送または書面提出を検討してください。

8月19日付事務連絡|受理区分と請求内容を照合する

厚生労働省は、施設基準の届出内容と診療報酬請求に疑義が生じている医療機関等があるとして、2026年8月診療分以降の適切な請求を求めています。

報告書の提出作業と同時に、次の3点を照合してください。

  1. 地方厚生(支)局から受理された評価料の種類と区分
  2. レセコンに登録されている評価料の種類と区分
  3. 2026年8月診療分以降に実際に請求している内容

たとえば、受理されたのが歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみであるのに(Ⅱ)を請求していないか、(Ⅱ)の区分番号が受理内容と一致しているかを確認します。不一致が見つかった場合は、自己判断で請求を続けず、レセコン会社と管轄の地方厚生(支)局へ確認してください。

会計上の収入と制度上の使途を分けて考える

ベースアップ評価料は、会計上は診療報酬収入に含まれます。一方、制度上は使途が定められており、自由に使える利益とみなすのは不適切です。

評価料の算定額は、対象職員の基本給等の引上げと、それに連動して増加する賞与、時間外手当、法定福利費の事業主負担分など、厚生労働省が示す範囲に充てる必要があります。定期昇給や業績連動賞与など、ベースアップに含められない項目もあるため、賃金改善額の集計では公式の手引きを確認してください。

院内の役割分担と8月31日までの対応手順

担当主な作業確認資料
レセプト担当対象期間の算定回数・算定額を抽出し、受理区分と請求区分を照合レセコン集計、施設基準の受理通知
給与計算担当対象職員の賃金改善額と、連動する法定福利費等を集計賃金台帳、給与規程、雇用契約、社会保険資料
事務責任者最新版様式への入力、数式・対象年度・ファイル名の確認公式様式、記載例、提出手引き
院長・開設者全体の整合性を確認し、期限内に提出。控えと受信記録を保管完成ファイル、送信メール、受信確認
  1. 2025年度と2026年6月・7月の算定履歴を確認する
  2. 自院に必要な報告書を判定する
  3. 厚生労働省または管轄の地方厚生(支)局から最新版のExcel様式を入手する
  4. 算定額と賃金改善額を集計し、様式へ入力する
  5. 受理された施設基準とレセコンの請求設定を照合する
  6. 管轄事務所の指定に合わせて件名・ファイル名・本文を整える
  7. 2026年8月31日までに提出し、送信控えと受信記録を保管する

税理士や社会保険労務士へ依頼する場合も、提出義務の主体は医療機関です。委託先の業務範囲を確認し、算定データと給与データの最終整合は院長・開設者が確認してください。

よくある質問

すべての歯科医院が2種類とも提出しますか?

いいえ。2025年度に算定していれば令和7年度実績報告書、2026年6月・7月に算定していれば令和8年度中間報告書が必要です。両方の条件に該当する医院は2種類とも提出します。

歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)だけでも報告は必要ですか?

はい。対象期間に(Ⅰ)を算定していれば報告対象です。(Ⅱ)を算定している医院だけの手続ではありません。

2026年8月から初めて算定する場合、中間報告書は必要ですか?

2026年8月から初めて算定する場合、2026年8月に提出する令和8年度中間報告書の対象ではありません。今回の対象期間は2026年6月1日から7月31日です。

実績報告書と中間報告書は同じ様式ですか?

いいえ。令和7年度実績報告書は旧様式の診療所・歯科診療所用、令和8年度中間報告書は様式100を使用します。提出時のまとめ方やメールの分け方は管轄事務所の案内に従ってください。

賃金改善額が算定額に届いていない場合はどうしますか?

自己判断で数値を調整せず、早めに管轄の地方厚生(支)局へ相談してください。事業継続のため対象職員の賃金水準を引き下げた上で賃金改善を行う場合には、様式94「特別事情届出書」がありますが、適用の可否は個別事情により異なります。

関連するORTC動画

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まとめ

  • 2026年8月の報告期限は8月31日(月)
  • 算定状況に応じて、令和7年度実績報告書と令和8年度中間報告書の一方または両方を提出する
  • 令和7年度実績報告書と令和8年度中間報告書は様式が異なる
  • 歯科技工所ベースアップ支援料は2026年8月の報告不要。令和8年度分は2027年8月に報告する
  • 公式Excelを使用し、管轄事務所のメール提出ルールに従う
  • 8月19日付事務連絡を踏まえ、受理区分と2026年8月診療分以降の請求内容を照合する

ベースアップ評価料は、請求・給与・労務がつながる制度です。報告書を提出するだけでなく、算定額と賃金改善額を月次または四半期ごとに照合できる運用を整えておくと、翌年8月の作業負担と不整合リスクを減らせます。

参考情報・出典

※本記事は2026年8月24日時点の厚生労働省および地方厚生(支)局の公表情報に基づいています。様式や提出方法は更新される場合があるため、提出前に必ず厚生労働省と自院を管轄する地方厚生(支)局都道府県事務所の最新案内をご確認ください。

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