歯科経営
超高齢社会を迎えた現在、訪問歯科診療は歯科医院にとって「新たな収益の柱」としての重要性が増しています。外来診療だけでは捉えきれない在宅高齢者のニーズは年々拡大し、食生活の変化、低栄養、口腔機能低下、摂食嚥下障害など複合的な課題が地域全体で顕在化しています。ここで大きな鍵となるのが管理栄養士との連携です。訪問歯科が口腔の治療だけにとどまるか、食べる機能の改善まで支える包括的ケアへ進化できるか。この違いが、競合歯科医院との差別化、そして医科・介護と真に「連携できる」歯科医院づくりを実現します。この強固な連携体制こそが、経営を安定させるための確実な方法の一つとなるのです。
管理栄養士連携が訪問歯科の収益を押し上げる理由は3つあります。
管理栄養士との連携が進むことで、次のような算定が現実的になります。
・訪問歯科衛生指導料と栄養管理の連動
・管理栄養士による栄養指導(診療報酬の適用は施設・保険請求基準に準拠)
・栄養ケア計画に基づく多職種連携加算(医科・介護側の評価点数が増える)
・口腔機能管理の質向上による継続的介入・再訪問の機会増加
特に「摂食嚥下リハビリテーション」が重視される中、管理栄養士の関与は
居宅介護支援事業所からの信頼が向上します。
在宅医、ケアマネージャー、訪問看護師が最も困っているのは、食べられない・痩せていく患者への対応。ここに歯科として「栄養」「嚥下」「口腔」の三位一体の提案ができると、紹介数は自然と増えます。
栄養士会・地域ケア会議への参加や、食支援プロジェクトとの連携が進むと、地域での認知度や役割が拡大し、食べるを支える歯科医院として存在価値が高まります。
「情報共有」「役割分担」で成果が最大化します。高齢者の食生活は、単に咀嚼能力だけではなく、嚥下状態、認知機能、服薬状況、介護量、生活動線、食形態の工夫、栄養摂取量など、複雑に絡み合います。これを一つの職種でカバーすることは不可能であり、管理栄養士との連携は医療としての必然になりつつあります。
・歯科医師:診断、治療、嚥下評価、介入方針
・歯科衛生士:口腔ケア、口腔機能訓練、誤嚥予防
・管理栄養士:栄養アセスメント、食事計画、食形態調整、栄養モニタリング
→統一されたケアプランで在宅患者のQOLを底上げ
・食事量・体重変化の記録を共有
・摂食・嚥下の動画・写真の共有(許可の上)
・訪問看護の経過と連動した栄養ケア計画の作成
・ケアマネージャーとの三者会議で歯科側から食支援の提案を行う
・誤嚥性肺炎の再発率が低下
・体重減少の停止、栄養状態の改善
・食事の楽しみが戻ることで活動量・コミュニケーションが向上
→家族からの満足度が高く、口コミ紹介につながる
以下は実際の訪問歯科医院で成果が出ているフロー例です。
・口腔機能
・食事摂取量
・BMI・筋量・浮腫
・調理環境
・嚥下調整食の使用状況
高齢者は「食べられない理由」が複数絡むため、歯科・管理栄養士双方の評価で「原因の切り分け」が正確になる。
・食形態調整(嚥下調整食、刻み食、ソフト食、ゼリー食など)
・水分摂取量の改善計画
・嚥下訓練・口腔機能訓練
・歯科治療・義歯調整
「食事が進まない問題」の多くは、義歯の不適合+栄養不足+嚥下低下のセットで起きるため、チームでのアプローチが必須です。
・口腔ケアと嚥下訓練
・栄養評価(食事量、むせ、体重、便通)
・家族・施設スタッフへの食事介助指導
ここで重要なのは、口から食べられる状態を維持するという長期的観点です。
栄養改善・食事量増加・嚥下状態の変化をレポート化し、主治医・訪問看護・ケアマネージャーへ共有します。これが多職種からの紹介増加につながります。
2つの事例をご紹介します。
・食事は半量、1ヶ月で体重1kg減
・むせ、咳き込みが多い
→歯科の嚥下評価と管理栄養士の食形態調整
・ソフト食へ移行
・水分補給量増加の提案
・1日2回の口腔ケア導入
結果:肺炎入院ゼロ、体重1.5kg増加、デイサービスにも復帰
家族、ケアマネージャーの満足度が高く、歯科医院の紹介数は前年の1.6倍になりました。
・食事介助に時間がかかり施設スタッフが困っていた
→管理栄養士が好きだった味を聞き取り
→刻み食をやめ、ペースト食ととろみ水に変更
→歯科で義歯調整、嚥下訓練の併用
結果:摂取量が倍に増え、日中の眠気も減少
施設から「食事ケアの改善で職員の負担が軽減」と評価され、法人全体で訪問歯科利用が広がりました。
訪問歯科の成功には「ノウハウの継続的アップデート」が不可欠です。歯科医療メディアORTCでは以下のような実践的コンテンツを提供しています。
・訪問歯科経営戦略セミナー
・多職種連携の実践ノウハウ動画
・歯科衛生士と管理栄養士のダブルライセンス特集
・歯科栄養アドバイザーに関する教育コンテンツ
記事で学んだ内容を行動に移すために、まずはこれらの動画・セミナーを視聴し、体制づくりの第一歩を踏み出していただきたいです。

訪問歯科は今後の歯科医院経営において、安定・成長の両面で高い可能性を持っています。その成功の要は、「口腔」だけではなく「栄養・嚥下」まで踏み込む総合的食支援を提供できるかどうかです。管理栄養士との協働は、その実現に不可欠なピースです。患者のQOL向上、医科・介護からの高評価、紹介増加、加算算定、地域包括ケアでの存在感すべてが経営に直結する未来の訪問歯科の標準となるでしょう。
私は、「お口は命の入り口、心の出口」とよくお伝えしています。口腔は栄養を取り込み生命を維持する入り口であると同時に、表情・会話・笑顔など、その人らしさや心が現れる場所でもあります。だからこそ、管理栄養士と連携し、食支援と口腔ケアが一体となった訪問歯科が実現することは、地域における歯科医院の存在価値を大きく高めます。訪問歯科に管理栄養士を組み込むことは、「地域に必要とされ続ける歯科医院」になるための戦略であり、医療者としての使命でもあります。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
Q1.管理栄養士がいない歯科医院でも連携は可能ですか?
A.はい。まず外部の栄養士会やフリーランス栄養士と連携する形で導入可能です。地域包括支援センター経由の紹介も活用できます。
Q2.訪問歯科のどの場面で栄養評価を入れるべきですか?
A.初回訪問時が必須です。嚥下機能・義歯状況・食事量の変化は密接に関連しているため、口腔評価とセットで行うことで介入効果が高まります。
Q3.連携を始める際はなにから着手するとスムーズですか?
A.①共通評価シートの作成②共有アプリでの情報共有③毎月の多職種ミーティングの3つを整えるだけで連携効果が一気に高まります。

歯科衛生士ライター:大久保

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