もう悩まない!新人歯科衛生士の壁の乗り越え方と【成長&育成】のヒント

歯科衛生士


新社会人が悩みやすく、「辛いなあ」「自分にはこの仕事は向いてないんじゃ」とマイナス方向に思い悩んでしまう時期があるのをご存知でしょうか?

入社直後は誰でも慣れない環境に思い悩み、辛いと感じやすい時期です。

そんな春を過ぎて、入職から少し経った頃にやって来るのがゴールデンウィークです。

「5月病」という言葉もあるように、ゴールデンウィークなどの連休の後には働くこと自体が億劫になったり、仕事に行くのが辛いと感じたり、憂鬱になってしまいやすいのです。

少し仕事に慣れてきた頃に連休があることで、社会人としての生活リズムが崩れ、どうしても活動意欲が低下してしまいます。

このため、5~6月は新社会人の多くが辛いと感じやすい時期とされています。

今回は、こんな仕事に慣れてきた時期の新人の皆さんが感じやすい悩みや壁について、その壁の乗り越え方や成長し続けるためのヒントをお届けします。

また、育成側の方へも新人さんへの効果的なサポート方法をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事で分かること

1、先輩・同僚・院長と良好な関係を築くコミュニケーション術

2、患者さんの信頼を得るために大切なこと

3、「もう無理かも」壁にぶつかった時の処方箋

4、【院長・教育担当者向け】新人歯科衛生士の成長を加速させる育成ポイント

 

1、先輩・同僚・院長と良好な関係を築くコミュニケーション術


①「ホウレンソウ」の使い方を知ろう

「ホウレンソウ」という言葉をご存知ですか?

ホウレンソウとは「報告」「連絡」「相談」という3つの言葉をまとめたもので、社会人として身につけておくべき必須のマナーです。

報連相については第一回の記事で詳しくご紹介していますので、まだ読まれていないという方はどうぞご覧くださいね。

頼まれたことやアクシデントが起こった場合に、それについて上司である院長先生や先輩社員に対して「報告」し、進捗を「連絡」し、その上で「相談」を行うことが業務を円滑に進めるために必要なことになりますが、この報連相を行うタイミングを見誤ってしまうと周りからの印象が悪くなる可能性があるので注意が必要です。

ではどのようなタイミングが良くないのでしょうか?

1)忙しいときに声をかける

いくら報連相が大切とはいえ、相手の忙しさや状況を考えずに話しかけることは避けましょう。

緊急時には致し方ありませんが、平時であれば相手が落ち着いている時に声をかけるのがベターです。

相手の状況が分からない場合には話しかける前に「今報告してもいいですか?」と確認しましょう。

 

2)会話中に話を遮って報告する

誰でも楽しく話をしている最中に突然横から話しかけられればいい気はしませんよね。

こちらも緊急時以外では避けるようにしましょう。

 

②質問する前に、まずは自分で考えよう

分からないことや悩んだ時に先輩に質問をして教えてもらうことは学びを深める上で良い行動だと思います。

ですが、何でもすぐに質問する前に、まずは自分で調べたり考えるようにしましょう。

職場は学校ではなく、上司や先輩は学校の先生ではありません。

社会人は学生とは違いますから、自ら学びを深め、知識を深める努力をすることが求められます。

分からないことがあった場合には、まずは自分で調べた上で、「調べたらこのように書かれていたのですが、これであっていますか?」と確認しましょう。

また、質問をして教えを得た時には、「相手の時間をもらっている」ということをしっかり認識しておきましょう。

上司だから、先輩だから当たり前、なんてことはありません。

「ありがとうございました」という感謝の言葉を伝えることは、何よりもコミュニケーションを円滑に行うコツです。

質問の後には必ず相手に感謝を伝えてくださいね。

 

③チーム医療を意識しよう

歯科医院では、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士が主に働いています。

どのスタッフが欠けても歯科医院としての業務を遂行することはできません。

例えば、患者さんにホワイトニングを施術しようと思った場合。

ホワイトニングトレーの印象を行い、石膏模型を作りますよね。

歯科助手が患者さんと医院との予定を合わせ、双方にとって適切な時期を設定し、予約を取ります。

この後、歯科技工士によってホワイトニングトレーが作成され、納品されます。

そうして予約日を迎え、患者さんにホワイトニングトレーをお渡しすることができるのです。

目で見て理解することができるのは目の前の業務だけですが、このような仕事だけでなく全てのことが誰かの手を渡って目の前に届いています。

目の前のことだけを考えるのではなく、どうすれば次に業務を請け負ってくれる人がスムーズに仕事を行えることができるかを考え、またそのことに感謝するように心掛けましょう。

 

2、患者さんの信頼を得るために大切なこと


診療を行う上で大切なのは技術であることはもちろんですが、技術だけでなく医療技術者としてホスピタリティーが求められます。

患者さんからの信頼を得るためにどのようなことに気をつければ良いのかを考えていきましょう。

①患者さんとの「対話」を大切に

患者さんにTBI(Tooth Brushing Instruction:歯磨き指導)を行うとき、患者さんの話をどのくらい聞いていますか?

歯磨きやフロスを毎食後に行うことが虫歯や歯周病予防のために重要であることはもちろんですが、それは理想論でもあります。

何かと忙しい生活を過ごす中でやっと時間を作って歯科医院に来たのに、頭ごなしに「歯磨きをして下さい」と言われてしまっては患者さんの心が離れてしまいます。

患者さんの生活背景考をえ、患者さんの状況に寄り添った提案を行いましょう。

 

②クレームを回避するために心がけること

患者さんからクレームが起こる内容として、「痛かった・苦しかった」という不快感はもちろん、「説明が分かりにくかった」「こちらのことを考えてくれなかった」というものがよく聞かれます。

治療について説明を行う時には医療用語は使わず、患者さんに分かりやすい説明を心がけましょう。

また、説明を進める時には「ここまでで分からないことや何か聞きたいことはありませんか?」と相手に対して確認を挟めば、安心して話を聞いてもらうことができます。

このように、診療中も説明中も患者さんが不安な気持ちになっていないかどうか確認しながら進めるようにしましょう。

 

私も新人時代にいくつかクレームを頂いたことがあります。

そんな今までのクレームの中でも思い出深いのが、「何度も口を開けてと言われて辛かった」というものです。

その時は、検査やスケーリングを行う中で、何度か「お口を開けてください」と患者さんにお声掛けを行なっていました。

患者さんはチェアでは特に何も言われずに退室されましたが、会計時に受付のスタッフへ「辛かった」とクレームを伝えられたのでした。

この時の私は、クリーニングを行うことに必死になって、患者さんの状態が見えていませんでした。

幸いにもこの方とは次の予約の時にも担当することができ、患者さんの状態を鑑みずに施術を進めたことに対して謝罪することができました。

謝罪を伝えた際に患者さんと詳しくお話をして、実はこの患者さんには顎関節症があり、普段はある程度口も開けられるが、チェアに倒れた水平状態では口を開け続けることが辛いということをお聞きすることができました。

それからはこの経験から患者さんの開口量について注目するようにし、検査やスケーリングなど口を開けて頂いている時に顎がガクガクと震えてきたり、少しずつ閉じてくるような時には「大丈夫ですか?お痛みはないですか?」と声をかけることはもちろん、お口を閉じて休憩を挟んでもらうなどの配慮ができるようになりました。

クレームをもらった時には、「もっとこうしておけば」と後悔したり、思い詰めてしまいますよね。

でも、クレームは成長への一歩でもあります。「患者さんから気づきをもらって勉強させて頂いた」と考え、次に繋げていくようにしましょう。

 

3、「もう無理かも」壁にぶつかった時の処方箋

少しずつできること、任されることが増えてくると業務が増えて複雑になり、処理能力が追いつかなくなりキャパオーバーで「もう無理」と思ってしまうこともありますよね。

「できない」「分からない」と感じた時の気持ちの切り替えのヒントをお伝えします。

 

①落ち込んだ時の気持ちの切り替え方

何かミスをしてしまったり、失敗してしまった時には誰でも落ち込んでしまうものです。

そんな時はその失敗ごと次に繋げられるよう前向きに考えることが大切です。

なぜミスが起こったのか?どうして失敗してしまったのか?を考え、どのようにすればその失敗を起こさずに済んだのかを考えましょう。

とは言え、自分一人だけでは解決策や別の方法を考えつくのはなかなか難しいもの。

そんな時は先輩や同僚にインタビューしてみましょう。

「こんなことがあったのですが、こういう時どうしてますか?」と聞いてみて、その人なりの工夫や準備方法を聞いてみて下さい。

そうして聞いた内容を自分なりに生かして実際に練習を重ねていくことで、同じミスや失敗は少なくなっていきますよ。

 


②悩んだ時には誰かに相談してみよう

前述でもお伝えしましたが、一人で悩んでいると同じ悩みをぐるぐると回ってしまい答えが出ずに悩み続けてしまうこともあると思います。

自分の悩みを聞いてもらい、人の意見を参考にすることは悩みの解決に繋がりますから、悩んだ時には誰かに相談してみましょう。

職場の信頼できる先輩や同僚はもちろん、家族に話を聞いてもらうのもいいですね。

また学生時代の友人や、歯科とは関係のない他の職業に就いている友人に話を聞いてみるのも全く違った視点からの意見をもらえるので新たな発見に繋がりますよ。

 

私は新人時代、入職してすぐ職場の先輩が産休に入ってしまい、自分一人で歯科衛生士として働いて行かなければならなくなりとても悩みました。

そんな時頼りにしたのは外部セミナーでした。

私の時代はハンズオンセミナーが主流でしたが、今はネットやYouTubeなどでも沢山の歯科医療知識や技術に関しての動画が出ていますから、ぜひ検索してみて下さいね。

また、ネットで知識を得る時には、1つの動画やコラムだけを参考にせず、いくつかの内容を調べて正誤性を自分で見極められるよう気をつけて下さいね。

 

4、【院長・教育担当者向け】新人歯科衛生士の成長を加速させる育成ポイント

ここまでは新人さん目線でお話ししてきましたが、新人さんを受け入れる医院側もどのように支えて成長を促してあげれば良いか悩みますよね。

ここからは新人歯科衛生士の成長を加速させるための育成ポイントについてお伝えします。

 

①新人が安心して働ける環境づくり

新人さんが安心して働けるよう、まずは質問しやすい雰囲気を作りましょう。

普段から挨拶や雑談など声掛けを行なっていくことで、話しかけやすい関係を作っておくと安心して質問ができると思います。

また、「新人には任せられない」と何もさせないのではなく、小さなことから少しずつ仕事を任せていき、「失敗してもサポートするからやってごらん」、と安心してチャレンジできるよう声をかけながら成長を見守って行きましょう。

 

②効果的なフィードバック

「フィードバック」とは、相手の行動に対して評価したり指摘することを言います。

フィードバックを行う時は、振り返りや指摘だけで終わらずに今後の行動に対する具体的なアドバイスをセットにして伝えることが効果的です。

フィードバックの内容が抽象的では、相手に上手く伝わらず、どのように取り組めば良いのか分からずに改善できなくなってしまいます。

具体的にどのような行動が悪かったのか、例えばどのようにすれば良かったのか、行動をどのように改善していくべきかを話し合いましょう。

またフィードバックを行う際はなるべく時間を空けずに、できるだけその日のうちに行いましょう。

行動から時間が経ってしまうと相手も実感しづらくなってしまいます。その日のうちに伝えて、そして改善点を実行してもらいましょう。

フィードバックを伝える時には、相手の改善に対して期待していること、一緒に頑張ろう!という気持ちを込めて伝えてみてくださいね。

 

③メンタルサポート

日々声掛けを行うことはもちろん、面談という場を持つことも大切です。

普段から話しやすい関係を築いておき、1対1の場で働く中で何か悩んでいること、困っていることがないかを確認します。

職務や技術でつまずいていることはないか、現時点で自分で考えている課題は何なのか?

また、職場の人間関係で悩んでいること、困っていることはないか確認しましょう。

一人で悩んでしまっていないかどうか、困りごとがないかどうかを確認し、必要なサポートを考えることで相手のメンタル面の負担を減らせるよう話し合っていきましょう。

 

④学習意欲を引き出すために

医療技術は日々進化しており、歯科医療業界もその限りではありません。

常に研鑽を重ね、より良い医療を患者さんへ提供できるよう常に学習を続けていくことが望ましいです。

このためには、学習する事に対しての苦手意識を作ってしまうことがないよう進めることが大切です。

例えば院内全体で年間目標を考え、その中でそれぞれの課題を明確にするのも良いですね。

成長の目標設定をすることで、具体的にどのようなことを学んでいけば良いのか分かりやすくなり取り組みやすくなるかと思います。

また、医院で求められる知識や技術の内容に沿ったセミナーを提示すれば、自分で検索する必要なく、また医院の考えとのギャップなく学ぶことができるのでトライしやすいかと思います。

ぜひ実施してみてくださいね。

 

学習するにあたり、どんなものがいいのか?自分は今何を優先して学ぶべきなのか?ということを自分一人で自覚することはかなり難しいのではないかと思います。

私も今まで様々なセミナーに参加してきましたが、受講してみると思っていた内容と違ったり、実際に医院で実践できない内容だったこともありました。

そんな時役立ったのが、医院に掲示されていた先輩たちが受講してきたセミナーの受講証明書でした。

医院で皆が取得しているセミナーであれば、先輩たちと同じ目線で考えられると思いそのセミナーを調べたり、実際に先輩方にセミナー内容がどのようなものか、実際に診療に活かせているかを聞いて受講するかどうかを考えることができました。

こうしてセミナーの受講証明書を院内に掲示しておくことは、患者さんに安心感を与える一助にもなりますし、後輩が目標として設定しやすくもなるのでぜひ掲示してみてはいかがでしょうか。

 

<おわりに>

新社会人一年目の歯科衛生士さんは、新生活が始まり、新しい環境で学びの多い日々を送っていることと思います。

一年目のうちは毎日が新鮮な出来事の連続ですよね。

覚えること・考えることが多い毎日の中、思い悩んでいる内に一日が終わってしまう日々なのではないでしょうか。

上手くいかない日々の中で「自分には歯科衛生士は向いてないんじゃないか」「もっと早く出来るようにならなければ」と焦燥感を抱えてしまうかと思いますが、初めは出来ないことが多くて当たり前です。

焦らずに一歩ずつ確実に成長していくことが、二年目三年目へと繋がっていきますからまずは焦らずに目の前のことを着実に覚えて出来るようになっていきましょう。

そうして学んでいくと、新たな悩みと発見が見えてきます。

知識だけでなく技術も、学ぶ事に終わりはありません。

努力を重ねた分、自分の仕事に対して自信と誇りを持って働くことが出来るようになりますから、自ら学び続ける姿勢を大切にしてくださいね。

また、成長のステップには院長先生はじめ諸先輩方の協力があってこそです。日々支えてもらっているという感謝の気持ちを忘れずに頑張っていきましょう。

歯科衛生士ライター:古家

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