20年ほど前まではブラケットやワイヤーを用いた歯科矯正が一般的でしたが、最近ではアライナーと呼ばれるマウスピース型の矯正装置を使った矯正方法が一般的に広く知れ渡り、以前よりも気軽に歯科矯正をスタートする方が多くなってきたように思います。
そしてマウスピース矯正が一般的なものとなった今、様々なマウスピース矯正の種類が出てきました。
その中にはどこの会社が行っているのか分からないような、調べてもホームページすら存在しないような商品も存在します。
マウスピース矯正には金額だけでなくもちろん時間も使いますし、何より患者さんの大切な歯を守る歯科医療技術者としてマウスピース矯正についてはより深い知識が求められます。
デンツプライシロナ社やGC社など歯科材料メーカーも続々とこのマウスピース矯正業界に参画してきていますが、そんな中でも今回は多くの歯科医院に導入されているインビザラインとアソアライナーについてその内容とそれぞれの特徴についてお伝えします。
1、マウスピース矯正の特徴

マウスピース型矯正装置を使った矯正は、従来のブラケットやワイヤーを使った矯正とどのような違いがあるのでしょうか?
①審美性に優れている
マウスピース矯正の場合ほぼ一日中マウスピースを装着することとなりますが、透明なマウスピースのため注意深く見ない限りマウスピースをつけていると気づかれることはありません。
従来の矯正方法ではどうしてもワイヤーやブラケットなどの矯正器具が話している時や笑った時に目立ってしまいましたが、マウスピース矯正の場合このようなことはないため、審美面に気を使われておられる方にも選ばれやすくなっています。
②着脱することが可能である
マウスピース矯正はワイヤー矯正とは違い歯に直接取り付けられている訳ではないため、患者さんの意思で取り外すことができます。
③患者さんの快適度において優れる
着脱できることも快適度に関わりますが、マウスピース自体が薄くできているため従来のワイヤー矯正でよくあった「矯正装置で口内炎ができる」などの不快感がありません。
④清掃性に優れている
マウスピース矯正ではマウスピースを着脱することが可能なため、歯磨きがしやすくその分従来のワイヤー矯正と比べて虫歯や歯周病のリスクは低くなると言えます。
⑤金属アレルギーでも行うことができる
従来のワイヤー矯正では金属製の矯正器具を用いるため金属アレルギーの患者さんには実施することができませんでしたが、マウスピース矯正であれば安心して行うことができます。
2、インビザラインとアソアライナーの違い

インビザラインとアソアライナーはどちらもマウスピース矯正であるため一見同じように思いますが、それぞれに違った特徴があります。
まずはそれぞれの会社の背景から見ていきましょう。
①インビザライン
インビザラインは1999年に米国アライン・テクノロジー社から提供されており、日本では2006年から正式導入されました。
世界100カ国以上の国々で導入されており、現在世界トップシェアを誇ります。
公式にインビザラインでマウスピース矯正を行った患者数も公表しており、1,400万人以上の治療実績があります。
その膨大なデータに基づいて開発されたシュミレーションソフト「クリンチェック」を使って治療を開始する前に歯の移動を三次元的にシュミレーションし、その計画に沿って歯を少しずつ移動(0.25mm)させていきます。
②アソアライナー
アソアライナーは元々は「クリアライナー」という名称で韓国の矯正専門医金泰元氏によって開発され、2005年に日本に上陸しました。
現在では日本の和田精密歯研がライセンスを受けて提供しています。
理想的な歯並びに近づくように、模型状の歯をコンピューターで測定しながら並び替え、歯が少し移動(0.5mm~1mm)した状態のマウスピースを製作します。
3、治療内容の違い

3-1 適応症例の違い
インビザラインもアソアライナーもマウスピースを使って歯を移動させるというその仕組み自体は同じですが、適応症例の範囲はインビザラインの方が広く設定されています。
インビザラインは膨大なデータに基づいて開発されたシュミレーションソフトによって正確な歯の動きが設定されます。それを元にCAD/CAMを用いた光造形技術によってアライナーを作成します。
アライナーの精密性ではインビザラインに優位性があり、部分矯正だけでなく臼歯など全体的に動かす全体矯正の症例にもある程度適応することが可能になっています。
一方アソアライナーは矯正後の後戻りや歯と歯の間の隙間を閉じたり、すきっ歯など前歯だけを限定的に動かなど軽度の歯並びの乱れを整えることを得意としています。
3−2 型取りの違い
アソアライナーとインビザラインはどちらもマウスピースを製作するために型取りを行う必要があります。
インビザラインの場合はコンピューターによりシミュレーションが行えるため、基本的には一回の型取りで全てのマウスピースを製作することができます。
一方、アソアライナーでは30日ごとに型取りを行う必要があります。
インビザラインと比べると型取り回数が多いため患者さんの負担は増えてしまいますが、毎回その時点での歯型を採り、その歯型から現場にあったマウスピースを製作するため、歯の動きが遅かったり歯の形が変わってもフレキシブルに対応することができるのが特徴であり利点とも言えます。
3−3 治療の流れの違い
アソアライナーが厚みの異なるマウスピースを10日間ごとに交換するのに対して、インビザラインはシュミレーションによって製作されたマウスピースを1~2週間ごとに交換します。
3−4 マウスピースの形状の違い
両者ともマウスピースの外観は透明でその厚さもさほど変わらないように見えますが、インビザラインでは歯のみを覆うのに対して、アソアライナーでは歯と歯肉の一部を覆う形状をしています。
マウスピースの厚みはインビザラインは厚さ0.05mm。
アソアライナーはソフト0.5mm、ミディアム0.6mm、ハード0.8mmと段階に応じて厚みの異なるマウスピースを用います。
3−5 装着時間の違い
マウスピース矯正では、基本的に食事と歯磨きの時間以外はマウスピースを装着していることが必要になります。
それぞれに推奨されている装着時間は、アソアライナーは17時間以上、インビザラインは20時間以上とされています。
3−6 矯正期間の違い
インビザラインの矯正期間は1年半~3年程度、アソアライナーの矯正期間は4ヶ月~1年半程度が目安となっています。
こうして見るとアソアライナーの方が矯正期間が短いように感じますが、前述の通りアソアライナーで治療が可能なのは軽度な歯並びの乱れのみです。
インビザラインにおいても同じような軽度の症例であれば期間は同じ程度であると考えられます。
3−7 矯正費用の違い
費用はそれぞれの症例によって異なるため一概に比較することはできませんが、治療回数が少なく簡単な症例の場合アソアライナーの方が安く治療を行うことができます。
相場はアソアライナーが10~40万程度、インビザラインが20~100万程度です。
まとめ
アソアライナーとインビザライン、同じようでいてそれぞれに違いのあるマウスピース矯正。
それぞれのメリットデメリットを理解し、正しく患者さんにお伝えできるように整理しておきましょう。
歯科衛生士ライター:moe
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